ボトラー:イチローズモルト
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ(通称DD)は、今はもうない羽生蒸溜所のシングルモルト原酒と、2008年2月に稼働したばかりの秩父蒸溜所のモルト原酒をブレンド(ヴァッティング)して作ったピュアモルトです。羽生蒸溜所原酒はパンチョン樽を主体にシェリー樽、秩父蒸溜所のモルト原酒はミズナラ樽を使用しました。そして、ミズナラ樽ならではのオリエンタルなフレーバーが、羽生蒸溜所原酒のスイートさを引き出し、絶妙なハーモニーを奏でることになりました。ミズナラ樽は、スコッチの基準からすれば、ウイスキーになりませんが、秩父の気候ともあいまって、わずか1年程度の熟成とは思えない秩父蒸溜所の力強い熟成がブレンドにより発揮されました。
またWWA2009(ウイスキーマガジン主催)において熟成年数なしのカテゴリーにおいて、ベストジャパニーズブレンデッドモルトに選ばれました。また、自然の風味を大切にするために、ノンチルフィルター及びノンカラーとしております。このため、濁りやオリが発生する場合がありますが、品質には問題ありません。
蒸溜所:羽生蒸溜所&秩父蒸溜所をヴァッティング
使用カスクタイプ:ホワイトオークパンチョン、ミズナラホグスヘッド、シェリーバット
アルコール度数:46.5%
容量:700ml
JAPANESEモルトの底力を実感!!
『イチローズ モルト』
このブランド名をご存じだろうか?
感度の高いモルトファンの間では、数年前から熱い注目をあびる高級モルト専門の
ウィスキーブランドだ。
会社名をベンチャーウィスキーと言い、社長である
肥土伊知郎(あくと いちろう)さんの名前がブランド名となっている蒸留所だ。
数年前に権威あるウイスキーマガジン誌のジャパニーズウイスキー特集において
大手資本を抑え最高金賞を受賞したことで品質の高さも実証済みである。
【ベンチャーウィスキー前身】
肥土社長の実家は代々の造り酒屋。
前身の東亜酒造は埼玉県最北の羽生市にあり当店から車で20分弱の場所にありました。
日本の地ウィスキーの先駆けで「ゴールデンホース」というブランドで知られて
いたのですが (うちでは扱いはありませんでした)
2000年に民事再生法を適用になりウィスキーの設備、モルト原酒などは廃棄されてしまう運命だったそうです。
その瀬戸際の状態から、福島の酒造メーカーにお願いし引き受けてもらい熟成させてもらいながら、
原酒を自身でブレンドしながら販売を続けてきました。
その後数年を経て念願かない秩父にウィスキーづくりに適した自身の蒸留所をもつことになりました。
2008年の2月。日本どころか世界でも珍しい
高級なシングル・モルト専門の蒸留所の誕生です。
ゆったりとした空気の流れる 埼玉県秩父市の山中にあるベンチャーウィスキー社。
ここは日本では非常に珍しい個人経営の高級モルト専門蒸留所。
【秩父の山の中の新名所♪】
埼玉県と山梨県の境 秩父市は水と緑に恵まれた関東平野の秘境のような場所。
この 土地は社長の生まれ育った土地でもあり 旧・東亜醸造の秩父工場もあったので
水の良さ、適度な昼夜の寒暖差など気候も十分すぎるほど熟知していたそうです。
この自然豊かな土地の小高い山の中にベンチャーウィスキーは3000坪もの敷地を
取得しました。
ちょっと大きめの倉庫のような蒸留棟、熟成庫、事務所&レセプション棟が絵葉書のように
配置されています。
【見学!酒が飲めるぞ〜。】
社長の肥土伊知郎さんが穏やかな笑顔で迎えてくださり
ウイスキーづくりの工程説明から試飲まで、2時間以上費やして案内していただきました。
蒸留所に一歩足をふみいれると、ビール醸造と同じような独特な麦汁の発酵の香りが漂い
非日常の空間に入り込んだのを実感します。
ステンレスや木桶のタンク、ポットスチルが整然が所狭しと並んでいて、
それらは休むことなく稼働し続けます。
蒸留のキモとなるポットスチルはスコットランドへ何度も足を運び、
自身のこだわりが具体化できるように細部まで徹底的にこだわってオーダーメイドしてもらったそうです。
イチローズモルトの目指すべき味わいは複雑なコクがありヘヴィなもの。
愛飲家の間では 国産モルトではもっともヘヴィな味わいに分類されています。
貯蔵庫には約300樽のウイスキーが眠っていて
(ちなみにサントリーの貯蔵量は全国4箇所で100万樽だとか)
中にはモルトバーのサインが書かれているものも見かけました。(どうやら樽ごと予約らしい)
事務所を兼ねた受付レセプション ルームでは10銘柄ものアイテムを試飲させていただきました。
この秩父の蒸留所は、まだ稼働をはじめて1年弱。その中でうまれたニューボーンシリーズや
羽生蒸留所でつくられ廃業、強制売却のがけっぷちから残った看板のトランプカードの図柄のシリーズ。
特徴的なバーボン樽やシェリー樽で寝かせたもの。
川崎蒸留所でうまれた1976年や1981年といった非売のものまで、どれも個性的なものばかり。
考え方は小規模な自然派ワインの作り手さんと近いものがあるな〜と感じました。
かつて世界的なウイスキーの権威、ウイスキーマガジン誌の
ジャパニーズウイスキー特集において「イチローズ モルト キング オブ ダイヤモンズ」が
最高得点を獲得し金賞を受賞したのですが、それも充分うなずけます。
それぞれが十分なコクがあってまろやかなので
アルコール度数の高さもまったく気になりませんでした。
【蒸留所見学のすすめ】
ベンチャーウィスキーは、肥土社長をふくめ、4〜5人程のスタッフで運営している小さな蒸留所です。
そのため飛び込みで行っても残念ながら見学はできません。
ニッカの余市蒸留所、サントリー白州、山崎蒸留所、メルシャン軽井沢蒸留所など
大手メーカー蒸留所でしたら、ギャラリーやレストランを併設していますし見学コースも充実しています。
観光のコースにも組み込まれることもありますので、是非機会ありましたら訪ねてみてはいかがでしょう。